歯周病とは
歯周病は、歯肉、セメント質、歯根膜、歯槽骨という、歯を支える4つの組織(総称して歯周組織)に起こる炎症を主な症状とする病気です。歯周病の直接の原因は歯垢(プラーク)です。
歯垢は細菌の塊で、プラーク中の歯周病細菌のほとんどは、酸素の少ない所を好むため、歯と歯肉の隙間(歯周ポケット)に存在します。
歯周病は、プラークの中の歯周病細菌やその代謝産物の作用によって、歯周病組織が破壊され、重症になると歯がぐらぐらになり、膿みが出て、やがて歯が抜けてしまう、怖い病気です。
歯周病進行度
①健康な歯肉
色は薄いピンク色で、歯肉が歯と歯の間に入り込んでいます。
感触は、弾力性に富み、引き締まっていて、出血はありません。
②歯肉炎 (歯周ポケット 3mm以内)
歯茎が赤く、ブヨブヨになって腫れてきます。出血が見られることもあります。きちんとプラークコントロールができれば、ほとんどの歯肉炎は治ります。
【治療】歯の周りのプラークや歯石を取り除き、毎日丁寧に歯みがきしていただきます
③中度歯周炎 (歯周ポケット 5~7mm)
歯を支える骨が破壊され、歯が少し動くようになります。
出血が見られるだけでなく、膿もでるため、口臭もひどくなります。
【治療】歯周ポケット内の歯石をきれいに除去し、毎日丁寧に歯みがきをしていただきます。短い間隔でご来院いただき、ポケットの深さチェックと歯石除去を繰り返し、改善を待ちます
④重度歯周炎 (歯周ポケット 7mm以上)
歯を支える骨がほとんどなく、ぐらぐらになって噛めなくなります。口臭もひどく、歯周ポケットの細菌は歯茎の細胞を通り抜け、血流に入り込むようになります。
【治療】状況によって歯周外科手術、再生療法を行います。
歯周ポケットのプローブ検査
歯周病の進行度を測るため、プローブ検査を行っております。歯周ポケットに細い棒を差し込むことで、深さを測ります。3mm以内が正常でそれ以上ですと治療の必要があります。定期的に検査することで、治療効果をみていきます。測る時は、少しチクッとした痛みがありますがご了承ください。
歯周病治療 スケーリング
歯周病の原因である歯石を取り除きます。歯ぐきの下にも付着している場合は、麻酔を使用します。スケーリングとご自宅でのブラッシングで歯周ポケットをキレイにしていき、歯ぐきの炎症を抑えていきます
歯周病治療 外科手術(GTR法)
歯ぐきを開いて、人工の膜を張り付け、喪失してしまった歯槽骨の再生を促します。約1年ぐらいで骨が再生し、歯周ポケットが浅くなります。
歯周病治療 外科手術(エムドゲイン法)
骨を作る骨芽細胞やセメント芽細胞を活性化するエナメルマトリックスタンパク質ジェルを使って、患者さんご自身の細胞に働きかけ、骨の再生力を高める方法
歯周病は全身の健康とも関係があります
歯周病菌や、歯周病菌の生産物が血管を通して、全身に広がると、糖尿病、動脈硬化や脳疾患、心臓病、呼吸器疾患などを引き起こします。
特に糖尿病との因果関係は明らかになっており、歯周病治療をしっかり行うことが重要です。
また女性ホルモンとも関連が指摘されており、早期低体重児出産などの影響も出ることがあります。
歯周病と喫煙の関係
歯周病の危険因子の中でもタバコは最大の因子です。
喫煙経験者は未経験者の4倍の確率で歯周病にかかりやすくなるというデーターも出ています。タバコのニコチンは、血管を収縮させるため、歯周病による出血が起こっていても抑えられてしまい、気づかぬうちに歯周病が進行している可能性が高いです。また、ニコチンが歯根面のセメント質とよく結びつくため、歯周病の治療効果が出にくくなります。
さらには、ニコチンは抵抗力の低下を招くため、歯周病への抵抗力が下がり、間接的に歯周病を悪化させることにもなります。喫煙されている方は、歯周病のリスクが高くなりますので、まずは、禁煙をおすすめします。
歯周病チェック
複数当てはまる方は、是非一度当院を受診してください。
- 歯肉の色が赤い、もしくはどす黒い
- 歯と歯の間の歯肉が丸く、腫れぼったい
- 歯肉が、疲労時やストレスがかかっている時に腫れやすい
- 歯肉が退縮して歯と歯の間に隙間が出てきた
- 歯が長く伸びてきた
- 歯の表面を舌で触るとザラザラする
- ブラッシング時などに歯肉から出血しやすい
- 起床時に口が苦く、ネバネバして気持ち悪い
- 歯肉を押すと白い膿みが滲み出てくる
- 歯の動揺がある
- 歯と歯の間に食べものが挟まりやすい
- 上顎の前歯が出てきた
- 家族から口臭があると言われる